昨今、非常に難しいと言われる認知症ケアの介護や看護の現場で、魔法のような奇跡的技術として注目されている「ユマニチュード(Humanitude)」というケア手法があります。(Yves Gineste、Rosette Marescotti)
私はこのケア技法が介護師さんや看護師さんだけでなく、多くのセラピストさん達にとっても非常に役立つ技術だと確信しています。
ユマニチュードの基本は、「見る」「話す」「触れる」の3つから成り立っています。
これらは日常的なあたりまえのコミュニケーションのように思われるかもしれませんが、ユマニチュードではこれらを体系的に具体的なケア手法として確立しています。
つまりユマニチュードには一定のルールがあるのです。
例えば、患者さんの手は上から掴むのではなく必ず下から支えるように持ちます。
上から掴まれると患者さんは支配されている感じを持ち、逃げたくなります。
「あくまでも主役はあなたですよ。」と伝えるように相手の意志や自由をおもんばかりながらそれを援助するように支えます。
体に触れる瞬間、離す瞬間の角度にもルールがあります。
例えば垂直に触れるのではなく、斜めに触れることで少なからず衝撃を和らげることができます。
ユマニチュードが優しさを伝える技術と言われる理由、それは常に相手を尊重し大切に思っているというメッセージをすべてのコミュニケーション「見る」「話す」「触れる」に乗せて発信し続けるところにあるのでしょう。
ユマニチュードの開発者はこう言います。人は2度誕生すると。
1度目の誕生は出産時の動物学的誕生です。
2度目の誕生は、母親から愛情のまなざしを受け、言葉をかけられ、抱きしめられるという人間的存在を認識する瞬間です。
人は人間的存在としての尊厳を保つためには、「見る」「話す」「触れる」というコミュニケーションが必要不可欠であり、大人になった今でも常に根源的に求めていると言えるでしょう。
大人になると、日常生活において「見る」「話す」機会はあっても、「触れる」機会は少なくなっていくものです。
その触れられたい願望を満たす役割がセラピストの仕事なのではないでしょうか?
そう、3度目の誕生を体験できる場所、それがリラクゼーションサロンなのかもしれません。
ユマニチュード入門 [本田美和子] |
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